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ゆらゆら帝国/空洞です(2007)
ゆらゆら帝国/空洞です(2007)
ゆらゆら帝国/空洞です

日本を代表する異形のサイケデリックバンド、ゆらゆら帝国の11枚目のスタジオアルバム

ゆらゆら帝国といえばノイズ、サイケ、アングラなどとおどろおどろしいキーワードとともに語られ、通好みの邦楽ロックバンドの代表格としてもよく挙げられます
個人的に灰野敬二など日本のアングラチックなアーティストに対してあまりいい印象を抱いていなかったので以前は少し敬遠さえしていたのですが、前作Sweet Spotをなんとなくレンタルして聴いてみたらとてつもなくかっこよかったのですっかりファンになってしまいましたw

その前作Sweet Spotは、60年代サイケデリックアートをモノクロに塗り替えたようなジャケが象徴していたように、ドロドロとして強烈なロック的キーワードが散りばめられた名盤でしたが、今作はまずジャケからしておよそロック的とは言い難い雰囲気
曲の方も、まず1曲目のおはようまだやろうからMarvin Gayeかと思うようなニューソウル風サックスが飛び出して意表をつきます
2曲目から数曲はトリオ編成を意識したミニマムでコードの少ない曲が続きますが、それにしたって以前の曲、例えば2005年世界旅行無い!!などのようなクラウトロック/ポストロック的な、クラブミュージックにも通じるような反復感というより、なんとな〜く同じビート、同じコードを刻み続けたような気怠さで支配されています
歌詞にしても、意味が込められているのか何も考えていないのかわからないような以前からの作風がさらに深化してつかみ所の無い雰囲気
特に4曲目、やさしい動物の気怠さはどう表現したらいいのか分からないほど
途中の低音コーラスなど、ロック的な狂気、緊張感が迫って来ていいようにも思えるのに、聴いていて感じるのはただただユルさと閉塞感…

その閉塞感は次の曲まだ生きているでわずかながらに破られます
イントロからしてちょっとブリティッシュビートっぽく(しかしこれもおっそろしくやる気無さげですがw)、途中の展開は5曲目にして初めてロックを聴いていると思わせてくれる展開
ここから徐々に緊張感が増してパンクな爆発を迎える…と言いたいところですが…
次の曲、何となく夢をでその期待は無惨にも裏切られますw
少し80年代中期のサザンオールスターズを思い起こさせる、ほんのりニューウェーブ感がただよったポップな曲ながら、つかみ所がなくゆらゆらしたコーラスがかかったギターにやる気の無いビートで脱力感を誘われます
次の曲はシングルにもなった美しいですが、シングルヴァージョンのキラキラした音とともに意味の分からない感情が迸っていたような感覚は全く無く、トレモロギターの反復と気の抜けた合いの手とともに無機質で冷めた空気が広がり、次第にフェイドアウト
しかしトレモロギターの音色は響き続けて次の曲

いってきます

ファズベースと尺八の音色とともに、およそ無邪気な子供らしくはない不気味な坂本慎太郎のこんなつぶやきで始まる曲の題名は学校へ行ってきます
ずっと変わる事無く同じラインを演奏し続けるリズム隊の上で坂本のつぶやきと狂気的なノイズが渦を巻くこの曲
冷静に考えればこれまでの流れからすると異色に思えるこの曲ですが、渦を巻くノイズに違和感を抱かないのは、これまでの曲群にも実は含まれていた、ユルさと無気力さに包み隠されていたわずかな狂気や毒気が聴いているうちに徐々に体に浸透していたからなのでしょう
呆然とさせられている内にこの曲は終わり、メジャーキーのメロウな音が耳に飛び込んできます
Todd RundgrenCurtis Mayfieldを意識して書いた曲のようなポップな次の曲はひとりぼっちの人工衛星
使用期限が切れて軌道を離れていく人工衛星を擬人化した、メッセージ性がありながらも同時に内省的な無常観に貫かれた歌詞が印象的です

そしてアルバムはラストのタイトル曲へ
SGのクリーントーンによる面妖なリフが飛び出したかと思えば、歌が始まるとまるでI Want Youの頃のMarvin Gayeのような、ニューソウルというよりブラコン的な香りさえ漂うメロウな一曲
しかしそこはやはりこのバンド、当然能天気に愛を歌ったような風情はゼロで変わらず冷めた空気を漂わせています
そして曲が進んでいくとともに、このアルバムでこれまで一度も感じる事の無かった言い得ぬ高揚感さえ感じ、プレイヤーが停止するとともに気づけば再び再生ボタンを押している…
あまりにもつかみ所が無い、だからこその強烈な中毒性をもったこのアルバム、"迷"盤でもあるかもしれませんがまぎれも無く名盤、大傑作な作品です

空洞です
| Music:Disc Review | 15:37 | トラックバック:1 | コメント:0
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